記念館だより

「映画大使 川喜多長政・かしこ夫妻の軌跡」終幕   本日よりNEW「映画で巡る世界一周」が始まりました!

2019.07.12

3月から約4か月に渡り開催した企画展「映画大使 川喜多長政・かしこ夫妻の軌跡」。
ヨーロッパ映画を中心とした上映ラインナップと、2月に上映し大きな反響をいただいた「樹木希林さん特集」のアンコール上映も大変好評で、連日チケット完売が続きました。
また企画展会期中に、毎週金・土曜日に学芸員による展示の解説と通常お入りいただけない庭園と旧和辻邸をご案内するギャラリートーク&旧和辻邸見学ツアーを開催しました。映画を通して国際交流に尽力し、映画文化の発展に貢献した川喜多夫妻の足跡を深く知って頂けましたら幸いです。‎

さて、本日より心機一転!新企画展「映画で巡る世界一周」が始まりました。

ニューヨーク、ロンドン、パリなど主要都市はもちろん、映画の舞台となった場所を世界地図と照らし合わせながらポスターや映画資料をお楽しみいただきます。
企画展関連上映も様々な国の映画13本をご用意しました!
さぁ、夏休みは鎌倉で世界一周の旅へと出かけましょう!(つむぎ)

紫陽花咲く季節、鎌倉シネサロン「青木登のかまくら映画案内」を開催しました!

2019.06.20

梅雨が訪れ、紫陽花が咲き誇る季節となりました。令和となって最初の鎌倉シネサロンは、鎌倉で36年もの長きにわたって観光人力車業を営まれてきた青木登さんをゲストに迎え、青木さんが人力俥監修を務めた映画『力俥―RIKISHA―』の上映とトークイベントを開催しました。鎌倉が舞台となったシリーズ1作目「鎌倉純愛編」と、シリーズ2作目となる「草津熱湯編」を上映し、トークイベントでは本シリーズの監督であるアベユーイチさんにもお越しいただきました。

『力俥―RIKISHA―鎌倉純愛編』は、鎌倉市の姉妹都市であるフランス・ニースで、2013年に開催されたカルチャーイベント“Cartoonist”にあわせて、漫画・アニメ・特撮の分野で活躍するクリエーターたちが、日本の風景・心を楽しんでもらいたいと創りあげた作品です。クリエーターたちと青木さんとの出会いが生んだ作品ともいえます。

上映前の映画案内として、青木さんに本作の見どころをご紹介していただきました。改修される前の若宮大路の段葛や、青木さんご自身が出演された場面など、鎌倉と映画の魅力が満載で、期待が高まります。

上映後は、本シリーズの監督で、平成『ウルトラマン』シリーズをはじめ、映画『実写テニスの王子様』など、数々の作品を手掛けられているアベユーイチ監督と青木さんによるトークイベントとなりました。本作が鎌倉で誕生した経緯や、出演者とのエピソードなどをお話しいただき、途中、サプライズとして主演の関智一さんからのメッセージ映像も上映されました。

午後の回には、力俥シリーズの脚本を担当されている、むとうやすゆきさんも会場にお見えになり、制作時のエピソードをお話しいただきました。

最後に、アベ監督から再び鎌倉を舞台にしたいという熱い思いを聞くことができ、会場の皆様の笑顔に包まれて、盛況のうちにトークイベントが終了しました。これからも力俥シリーズは鎌倉で長く愛され続ける作品になることと思います。次回作も楽しみにしています!  (文)

 

 

韓国の悲しく激しい歴史を学ぶ ~GWシネマセレクション『タクシー運転手』トークイベント報告

2019.05.10

もうすっかり日常に戻った感がありますが、長い連休や平成から令和への改元が重なった今年のゴールデン・ウィーク、皆さんはいかがお過ごしでしたか?

毎年この時期は、近年公開された映画の中から、当館が是非おすすめしたい作品を選んでご紹介しています。今回は、いずれも昨年大きな話題を呼んだ『マルクス・エンゲルス』『タクシー運転手~約束は海を越えて』『フジコ・ヘミングの時間』を上映しました。

韓国映画の『タクシー運転手』は、1980年5月に韓国南部の都市・光州で起きた、国家による民衆への暴力的弾圧を題材にしています。映画を観ると、権力が民衆に対していかに理不尽な暴力を働くか、そして情報統制が敷かれた韓国では、当時ほとんどの国民が光州で起きていることを知らないままだったという恐ろしさを見せつけられます。ただ映画からは、何故光州事件が起こったのか、当時韓国がどのような政治状況にあったのかが断片的にしか理解できないこともあり、今回の上映に合わせて韓国人の映画研究者・崔盛旭(チェ・ソンウク)さんをお迎えして、光州事件と韓国の現代史についてレクチャーをしていただくトークイベントを開催しました。

日々、韓国の動向を伝えるニュースは数多いと言えど、その歴史的な流れを把握している日本人はそう多くはないのではないでしょうか。そこでトークでは、韓国の歴代大統領を一覧で紹介し、そこから光州事件の時期へと焦点を狭めていきました。

韓国では長きにわたって朴正煕(パク・チョンヒ、2年前に数々の不祥事で国民からその地位を追われたパク・クネ大統領のお父さんです)を中心に軍事独裁が続いていましたが、1979年、側近によって暗殺され、国が混乱する最中、この機会に独裁からの解放を実現しようと、国のあちこちで民主化を求めるデモがうねりをあげていました。
その中でも軍部にとって長年の敵であった民主化運動の指導者・金大中(キム・デジュン)の出身が光州であったことから、朴正煕の跡を継いだ軍人の盧泰愚(ノ・テウ)のターゲットとなり、混乱に陥っている国での軍の強さを知らしめるため、光州で民衆が反乱を起こしたという事実をでっちあげた、というのが光州事件の背景でした。

崔さんによると、光州は昔から地域差別の対象となっていて、道路などの開発事業から取り残されたり、テレビや映画での悪役を光州のある地方出身の設定にして、人々に光州人に対する差別意識を刷り込ませていたそうで、崔さんも子どもの頃、その地方出身者とは付き合うなと親に言われていたそうです。したがって、「光州で民衆が反乱を起こした」と嘘の報道がされた時も、国民の多くは「光州ならありそうなことだ、仕方ない」と納得し、それが軍の狙いだったということです。
今回のトークでは、崔さん自身の体験に基づくお話も多く聞くことができ、壇上からも皆さんが聞き入り、頷く様子が見えて、充実した内容になったと思います。

また、映画の展開と照合させながら光州事件の詳細を確認したり、映画のどの部分が事実かフィクションかについても説明していただきました。
私が印象的だったのは、最後にタクシーが光州から脱出する際、軍人が通行を許可する場面は、いかにもフィクションのように見えていましたが、実は事実だったということです。そして、光州で実際に民衆を虐殺した軍人と、通行を許可した軍人は軍服の色や柄が違っており、前者は特殊部隊の軍服、後者は一般の軍服であるため、徴兵された学生が光州出身だったり、民主化運動にシンパシーを感じていた可能性は十分にあるそうです。
そういった理解は、日本の観客には到底難しいため、今回のお話を聞いてより映画の説得力が増したように感じました。

本作は、映画の公開後に、タクシー運転手の息子さんが名乗り出て初めて彼の全貌が判明し、実は映画とはまるで違う人物だったことがわかるという、映画自体もドラマティックな展開を見せた作品でした。
実際の運転手さんは、積極的に民主化運動に関わっていた、非常に志の高い方だったようですが、映画ではごく普通の庶民として描かれていたからこそ、観客が感情移入して見ることができたのではないかと崔さんが仰っていて、韓国の歴史を学ぶとともに映画の力を実感できたトークイベントとなりました。(胡桃)

最高の条件が揃った旧川喜多邸別邸(旧和辻邸)一般公開

2019.04.14

4月6日(土)、7日(日)は、鎌倉市春の施設公開として、当館裏の庭園内にある旧川喜多邸別邸(旧和辻邸)の無料公開を実施しました。

毎年4月と10月に行われる一般公開では、なかなか天気に恵まれず、雨で地面がぬかるんだり、寒さでホッカイロが手放せなかったりすることも多かったのですが、今回は桜の満開とも重なり、また2日間にわたってポカポカと暖かく、絶好の散策日和となりました。

そして今回に限っては、6日の夜にテレビ番組で、一般公開の情報も含めて当館を紹介していただいたこともあり、7日にはさらに多くのお客様にお越しいただくことができました。

  

中には鎌倉にお住まいだけれど、これまで一般公開のことは知らなかったと仰る方も多く、テレビの宣伝力を実感すると同時に、当館としても情報発信する努力をさらに積む必要があると強く感じる1日となりました。

次回の一般公開は10月5日(土)、6日(日)ですが、現在開催中の企画展「映画大使 川喜多長政・かしこ夫妻の軌跡」会期中は、毎週金・土曜日13時からギャラリートークを実施しており、展示室と併せて別邸もご案内しています。入館料(一般200円、小・中学生100円)はかかりますが、今回ご来場いただけなかった方、あるいはご友人やお知り合いと一緒にもう一度見たいと思ってくださったお客様には、是非ご利用いただければと思います。

これからの春から初夏にかけては、新緑やつつじ、紫陽花などを楽しむことができるとても美しい季節です。
皆さまのお越しを引き続きお待ちしています。(胡桃)