記念館だより

夏休みは今年も「子どもシナリオ・映画教室」を開催!!

2018.08.05

毎年恒例の大人気企画となりました「子どもシナリオ・映画教室」が7月31日、8月1日の2日間にわたって開催されました。今年も多くの参加申込みをいただき、抽選で選ばれた23名の小学生の皆さんが参加してくれました。

1日目は鎌倉商工会議所でシナリオ基本講座を開催しました。講師は東京・青山にあるシナリオ・センターの新井一樹先生と田中和次朗先生です。午前中はシナリオを作るうえで大切なキャラクターの考え方や、相手を困らせることでドラマが面白くなることなど、さまざまな秘訣をお教えいただきました。そして、午後からは、いよいよシナリオ執筆の開始です。今年は「夏の鎌倉」をテーマにシナリオを書きました。

最後は、2チームに分かれて、それぞれのシナリオを発表しました。多数決で決まったシナリオは次の2作品です。

Aチーム『予算の少ない宇宙基地 ~夏の鎌倉におきた出来事~』
Bチーム『コックリさんをよびに…』

どんな作品になるのだろうと、タイトルからも想像が膨らみます。

2日目は川喜多映画記念館の敷地内で、映画撮影です。映像資料室が宇宙基地になったり、情報資料室が家のリビングになったりと、映画のために館内がさまざまな舞台になりました。


今年は例年以上の暑さで熱中症も心配されましたが、皆さん元気で2日間を終えました。
今月末には上映会が開催されます。どんな映画が完成するか、今から楽しみです!(文)

夏休みこども映画館、元気に終了しました!

2018.08.04

長期休みを中心に、小さなお子様から小学生までを対象にしたワークショップをお送りしている川喜多映画記念館ですが、今年の夏は少し規模を大きくして、35mmフィルムを使っての上映+ワークショップを計画してみました。

これは、どんな地域に暮らしている人でも映画文化に接する機会を持てることを目指して活動している「コミュニティシネマセンター」の「Fシネマ・プロジェクト」に参加して行なったもので、「Fシネマ」の「F」とは「フィルム」を意味しています。
世界中で映画がデジタルへと移行する中、上映機会が失われつつあるフィルムで上映を行うというこのプロジェクトは、映画文化の継承を目的としている当館にとっても、とても重要な使命だと思っています。

そんな大人の事情は置いておくとして、今回のこども映画館では、世界にその名を轟かすアニメ作家である宮崎駿監督と故・高畑勲監督の初期の大傑作『パンダコパンダ』(2作品)と、昨年の国産アニメーション100周年を受けての貴重な初期アニメーション4作品(『なまくら刀』『煙り草物語』『漫画二つの世界』『PROPAGATE(開花)』を上映する機会に恵まれました。

普段、子ども達がなかなか目にする機会のないこれらの作品を、1人でも多くの子に楽しく味わってもらいたいと、私たちは大奮起、当館としてもいくつもの新しい試みにチャレンジしてみました。

まず一つ目が、小さなお子様が泣いたりお母さんとお話ししても気兼ねなく映画を楽しんでいただける「はじめまして、映画館」です。
小さい子どもをお持ちのお母さんたちからしばしば聞くのが、「映画を見たいけど、子どもが小さいのでなかなか行けない」というものでした。映画館でわが子が泣いてしまわないか、人に迷惑にならないか、こちらの想像以上にお母さんたちは心配してしまうものなのですね。
『パンダコパンダ』は内容的にも時間的にも小さいお子様にぴったりな作品なので(もちろん誰が見ても素晴らしいですが)、この作品でこの企画は多くのお客様に喜んでいただけました。


「思っていたよりもずっと子どもが集中して見ていた」と喜んでくださったり、「子どもと一緒に笑ったり話したりしながら見ることができた」「初めての映画館で素敵な作品を見せてあげることができて嬉しい」といった声もいただきました。
また、せっかくフィルムで上映するので、フィルムに触ってみる機会も設けたり、映画が始まる時に映写室の方を向いて映写技師さんに手を振って合図を送る、ということもやってみました。いつもは縁の下の力持ちの技師さんたちも、子どもたちが一斉にこちらを向いて手を振るので、恥ずかしいやら嬉しいやらといったご様子でした。


この企画はこれからも、是非たびたび実施していきたいと思います。

8月3日には、小学生を対象に、日本の初期アニメーションを鑑賞し、サイレントであるそれらの作品にセリフや音を自由につけよう!というワークショップを実施しました。いわゆる弁士や伴奏を体験して、昔の人たちの映画鑑賞の形態に少しでも近づこう!という内容です。
こちらとしては、アニメとはいえ昔の無声映画を子どもたちが楽しんでくれるかしら…、字幕は読めない漢字も多いから内容を理解できるかしら…と不安も多かったのですが、いざふたを開けてみると、みんな物語もよくわかっていたし、今のようにスムーズでないアニメの動きや、実写を織り交ぜた技法を、大笑いしながら見てくれていました。

また、セリフをつける作業も試行錯誤ながらなんとか短時間で完成までたどり着き、フィルム上映に合わせての発表では、声を出すタイミングに苦心しながらも楽しんでくれたようでした。


そして、荻野茂二さんの抽象的なアニメーションに音をつけるワークでは、パーカッショニストのヒロシさんが、1人で20個もの打楽器を持ってきてくださって大活躍!子どもたちにも扱いやすい打楽器なので、みんな思う存分音を出せていましたし、またヒロシさんの絶妙な指揮のお陰で、ほとんど即興にも関わらず映像とも非常に合っていて、奇跡と感動を巻き起こしていました。

このワークショップでは、昭和音楽大学の有田栄先生、車をチャーターして楽器を運んでくださったパーカッショニスト・ヒロシさん、いつも当館の子ども向けワークショップを一緒に作り上げてくださる、アートとつながる鎌倉の方々に多大なるご協力をいただきました。心よりお礼申し上げます。

そして当館での夏のワークショップは、まだあります!
8月28日(火)10~12時/13時半~15時半の「ぐるぐるアニメワークショップ」です。こちらは毎年恒例の人気企画。人数もだいぶ埋まってきていますので、ご参加をご希望の方はお早めにお申込みください!(胡桃)

小笠原正勝さんギャラリートーク開催

2018.07.25

本日はグラフィックデザイナーの小笠原正勝さんをゲストにお招きして、ギャラリートーク<紙々の深き欲望 ~ポスター絵師たちの飽くなき探求~>を開催いたしました。

当館では、岩波ホールでの公開作品であるエキプ・ド・シネマ(仏語で“映画の仲間”の意)シリーズ(『大樹のうた』『旅芸人の記録』『ファニーとアレクサンデル』『ピロスマニ』)、フランス映画社配給のBOW(ベスト・オブ・ザ・ワールドの略)シリーズ(『ミツバチのささやき』『ブリキの太鼓』『ノスタルジア』『恋恋風塵』『木靴の樹』)のポスターなど、これまでにも折りに触れ小笠原さんの手がけたポスターを企画展に合わせて展示する機会がありました。

小笠原さんの手がけたポスターは、芸術性の高い外国映画の作品だけでなく、市川崑監督の『股旅』、長谷川和彦監督の『青春の殺人者』、鈴木清順監督の『ツィゴイネルワイゼン』などの日本映画に関しても革新的なデザインで数々のアートワークをのこしています。今回は、60年代から80年代にかけて他とは一線を画す手法で芸術映画を製作・配給した日本アート・シアター・ギルド(ATG)作品のポスターに関しても色々とお話を伺いました。

外国映画の場合は、まだ日本語字幕のないフィルム試写から作品の鍵となるエッセンスをつかみとり、ポスターのイメージを作り上げていくそうです。小笠原さんは字幕のないほうがむしろ視覚的なものに集中できるので、ポスター制作にとっては、最初はそのほうが良いこともあると仰っていました。日本映画の場合には、どのタイミングから作品との関わりを持ち始めるか、そのたびごとに異なるそうです。監督によっては原作者に映画化の交渉に行くところから同行を求める方もいて、キャメラマンや助監督ではなくデザイナーと映画の「入口」を一緒に始めるのは、ポスターの宣伝デザインがひとえに映画製作の「出口」に関わるパートだから、でしょうか。(最初と最後の立会人?)

このように製作段階から携わることもあるATG映画のポスターは、さまざまな道のりを経て(併走して)作られていたことが分かり、それらの要素がいかなるカタチでポスターに組み込まれたのかというお話は大変興味深かったです。実際に展示室でポスターを見ながら、参加した皆さんも映画ポスターの見方がより深まったのではないでしょうか。またポスターデザインで気になった作品は、映画のほうも是非ご覧になってみてください。そしてどんな要素がポスターに反映されているのか、再度じっくり眺めにきてくださいね。(B.B.)

「花結びを楽しむ 季節の庭園公開」を開催

2018.07.06

6月29日から7月1日にかけて「花結びを楽しむ 季節の庭園公開」を開催しました。
日本結び文化学会理事で花結び作家の倉田生子先生にご協力をいただき、旧川喜多邸別邸(旧和辻哲郎邸)内に「花結び」の展示を行ないました。3日間、旧川喜多邸別邸は結びの世界に染まり、日本古来の伝統文化で彩られた室内は美しく圧巻でした。ご来場の皆様も、普段、日常では目にする結びもこのような多種多様な表現と歴史があることにあらためて驚かれていました。



初日は、倉田先生による「花結びの楽しみかた」と題したギャラリートークを旧川喜多邸別邸にて実施しました。満員のなか、皆様、熱心に倉田先生のお話に耳を傾けていらっしゃいました。

7月1日は、旧川喜多邸別邸の居間でワークショップ「こけしの根付を作ってみよう」と「茶入の結び」を開催しました。初めて結びを体験した参加者の皆様は、なかなか思うようにいかない結びの難しさを肌で感じている様子で、思い思いに楽しんでいただけたようでした。

庭園には紫陽花も咲き誇っており、旧川喜多邸別邸を華やかに彩っていました。
川喜多夫妻が、かつて海外からの映画人をもてなした風情ある旧川喜多邸別邸と鎌倉の自然は、現在も私達に日本文化の豊かさを伝え続けています。 (文)