“愛とサスペンス”をめぐって PARTⅠ《フランス映画篇》

18/02/04

季節の中では冬が一番好きという人も、今年の冬の寒さには「マイッタ!」と音を上げているようです。寒がりの私はもっと前から縮こまっておりますが、今日でようやく立春を迎えました。これから少しずつ暖かくなっていくことを切に願っております。

鎌倉市川喜多映画記念館では、1月24日に『悪魔のような女』上映後のトークイベントを開催いたしました。三角関係の妻と愛人が共謀して夫を殺害する計画を立てるという背筋が凍るようなお話です(※館内は暖かく場内にはブランケットもご用意しておりますので、鑑賞の際にはご安心を)。

トークゲストには、2012年に刊行された『サスペンス映画史』の著者・三浦哲哉さんと、映画と酒にまつわる小雑誌『映画横丁』の編集人/ライターで、公開作品の劇場パンフレットの編集なども手がけている月永理絵さんにお越しいただきました。

月永さんは以前、鎌倉にある出版社「港の人」に長く勤めておられました。社名は詩人・北村太郎さんの詩集『港の人』が由来となっているそうです。月永さんは今回、『悪魔のような女』の原作本(ボワロー=ナルスジャック著/早川書房)を持ってきてくださったのですが、翻訳はその詩人の北村太郎氏によるもので、不思議なご縁に導かれてまた鎌倉に戻ってこられたことを喜ばれておりました。

また原作では、愛人と夫が共謀して妻を殺そうとするが実は…という話になっており、男女の設定が逆になっています。これは、『悪魔のような女』の監督であるアンリ=ジョルジュ・クルーゾーが、妻であり、女優としてこの映画の中でも病妻クリスティーナ役を演じているヴェラ・クルーゾーを主軸に撮るためではないか、という話になりました。たしかに、殺されてしまう側だと登場シーンは激減しますからね。本企画展のテーマである《巨匠×女優》の関係について、本作でもたくさんのことをお二人に語っていただきました。

また、話題はもう一方の女性、愛人のニコール役を演じたシモーヌ・シニョレの印象や役割に関することへと広がりました。どうみてもヴェラよりも年上にみえる役柄のシモーヌ・シニョレですが、実年齢ではヴェラ・クルーゾーの方が8つほど年上であるということ、二人がこれまでに演じてきた役柄の対照的な違いなど、三浦さんと月永さんがそれぞれに調べてきてくださったことで話題は尽きることなく、息の合ったトークであっという間の1時間となりました。

この“愛とサスペンス”をめぐってのトークは2月22日のPARTⅡ《アメリカ映画篇》へと続きます。次回はジョージ・キューカー監督、イングリッド・バーグマンとシャルル・ボワイエ主演の『ガス燈』上映後に開催いたします。ぜひ楽しみにしていてください。(B.B.)