「映画衣裳デザイナー 黒澤和子の仕事」展、終了しました!

17/12/17

「師も走る」と言われる12月、クリスマスやお正月など楽しみな年末年始を控えて慌しいこの時期の鎌倉は、比較的のんびりと穏やかな日々を送っています。(もちろん大晦日は別ですよー)風邪も流行っているようですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

9月15日から3ヶ月間にわたって開催してきました、特別展「映画衣裳デザイナー 黒澤和子の仕事」は、本日12月17日をもって無事に終了しました。
ただし無事に…といっても、昨日16日に開催した最後のビッグイベント、黒澤和子さんによる講演会では、電車の架線トラブルにより鎌倉までの交通手段となるJRの路線がすべて止まってしまい、来られないお客様がいらっしゃたり、参加できた方も皆さんとっても大変な思いをしながら来てくださったりと、最後の最後でとんだことになってしまいました。
元々私が担当するイベントの日は雨降りが多く、雨女との認識はあったのですが、さらにひどいことが起こってしまうとは、まさか疫病神ではないかと心配になってしまいます。。。

ただそんな中でも、和子さんのご配慮で15分遅れでスタートし、チケットをご購入されたほとんどの方には無事にご参加いただくことができました。
和子さんの素晴らしい語りによって、お父様である黒澤明監督の可愛らしい面を沢山知ることができ、また映画衣裳がどのようにできていくか、そしてどんな姿勢で和子さんがお仕事に向き合われているかがとてもよくわかり、質疑応答でもたくさんの質問が出され、皆様に喜んでいただくことができて何よりでした。

 

遡ること1ヶ月、11月18日には、この展覧会のために映画で実際に使用された衣裳を貸し出してくださった東京衣裳株式会社より、川田真之代表取締役社長にご登壇いただき、黒澤明監督の遺作『まあだだよ』の上映に併せて、映画衣裳界のいまとむかしについて語っていただくトークイベントを行いました。

おじいさまが創業された同社の三代目にあたる川田社長ですが、日本テレビのディレクターからの転身というユニークな経歴もあってか、衣裳会社という伝統的なイメージとはまったく異なり、これまで築いてきた場所に安住するのではなく、新たなジャンルの事業にどんどんチャレンジしていく姿勢がとても魅力的な方でした。
社長ご自身が現場を回り、また衣裳担当は同時にいくつもの作品を手がけて眼の回るような忙しさの中で、プロの仕事をこなしていくという、活気に満ちた素敵な会社の雰囲気がダイレクトに感じられ、普段企業のトップの方にお会いする機会のない私には貴重かつ新鮮な経験となりました。

黒澤和子さんは、映画の裏方にあたる衣裳界でも、最もその名を知られている方ですが、その一方で東京衣裳には、長年にわたって数多くの映画やドラマ、演劇の衣裳を手がけてきたベテランの職人さんたちがいらっしゃいます。
たとえば福田明さんは、『乱』や『夢』で衣裳を担当したワダエミさんのアシスタントを務めて黒澤監督から高く評価され、和子さんとも長く一緒にお仕事をされてきた方で、日本の俳優やスタッフが多数参加して大ヒットを記録した『ラストサムライ』でも、アカデミー衣裳デザイン賞を受賞したナイラ・ディクソンを片腕として支えられました。
また、「半時代劇」と言われる戦争を挟んだ時代の衣裳を得意とし、『杉原千畝 スギハラチウネ』や『ヴィヨンの妻』『明日への遺言』などを和子さんと一緒に担当された古藤博さんも、東京衣裳さんになくてはならないお一人です。

皆さんもよくご存知の「日本アカデミー賞」には、衣裳デザイン賞はないものの、裏方の立場から日本映画界に多大な貢献をされた方達を表彰する「協会特別賞」という賞があります。
福田さんは2013年度に既に受賞されているのですが、今年、古藤さんの同賞受賞が決まったと、先日川田社長からご報告をいただきました。
社長が心から信頼されているお二人の存在が広く知られ、評価されることは、社長にとって何よりの喜びに違いありません。
古藤さん、本当におめでとうございます。今後の更なるご活躍をお祈り申し上げます。

 

今回の展覧会では、様々な方にご協力いただくことの有難みを身に沁みて感じる機会が多くありましたが、小泉堯史監督もそのお一人です。黒澤監督の助監督出身であった小泉監督の『明日への遺言』と『蜩ノ記』を上映した際には、2作品とも監督が駆けつけてくださった上、上映前には挨拶もしてくださいました。
『明日への遺言』の日にちょうど台風が接近していて、「お客さんが誰も来ないかもしれないから私が来ましたよ」と言っていただいた時には、監督の優しさで胸がいっぱいになり、また『蜩ノ記』でも映画が終わって出てくるお客様一人一人に挨拶をされて、映画の感動と相まって皆様本当に喜んでくださいました。

このように、黒澤和子さん、川田真之社長、小泉堯史監督ら映画界の重鎮と呼べる方々をはじめ、本当に多くの方に支えられて、今回の展覧会を無事に終えることができました。
関わってくださった皆様にこの場を借りてお礼を申し上げます。ありがとうございました!

追伸:次回企画展「巨匠が愛した女優たち」は12月22日(金)より始まります。
引き続き鎌倉市川喜多映画記念館をどうぞ宜しくお願いします。
(胡桃)