『海街diary』と是枝監督のトークで迎えた大団円~特別展「鎌倉映画地図」終了しました~

17/07/26

鎌倉と映画の豊かな関係をご紹介する特別展「鎌倉映画地図」。
3月半ばより3ヵ月半にわたって開催してきた展覧会が、7月2日をもって終了しました。

鎌倉という土地ならではの企画ということもあり、多くのお客様に興味深くご覧いただけたのではないかと思います。
映画上映では、『黄色いからす』や『狂った果実』といった昔の映画から、『ニシノユキヒコの恋と冒険』『海街diary』など新しい作品までを紹介することで、鎌倉の風景の変遷を感じていただけましたでしょうか。
また、大嶋拓監督の『鎌倉アカデミア 青の時代』や金髙謙二監督『ウォーナーの謎のリスト』といった、鎌倉の歴史にまつわる新しいドキュメンタリーの上映には、沢山のお問合せをいただきました。鎌倉ほど、自らの住むあるいは生まれた土地に愛着と誇りを持ち、この土地についてもっと知りたいという知的好奇心を持ち続ける方が多い場所はないのではないか、とつくづく感じました。そんな場所で仕事ができる環境を恵まれてるなぁと有り難く思ったり。

そして、この特別展を準備している最中に、鈴木清順監督の訃報が伝えられたことも忘れられません。
鎌倉アカデミアで学び、その後松竹を経て日活ではスタイリッシュなプログラム・ピクチャーを次々と作り上げ、やがて後期の代表作として知られる『ツィゴイネルワイゼン』や『陽炎座』では、耽美的な美しい映像で鎌倉の地を幽玄に見せてくれた鈴木清順監督。
亡くなられたことは本当に残念ですが、鎌倉とゆかりのある映画人として、監督の作品はこれからも上映していきたいと思います。

最終日には、『海街diary』の上映に合わせて、是枝裕和監督のトークイベントを実施しました。
発売開始と同時に完売してしまったこのイベントには、地元の皆さんの熱い期待がひしひしと感じられ、当日は熱気に溢れ、充実した内容となりました。
鎌倉の多くの観光地では、諸事情により撮影が叶わなかったそうですが、だからこそ鎌倉の中の何気ない生活空間での撮影を通して、四姉妹の日常を丹念に描くことができたのではないかと話していた是枝監督。
撮影中から撮影終了後も姉妹がとても仲良しだそうで、その空気はスクリーンを通じて観客にも伝わってくる気がします。
客席からも次から次へと質問が飛び交ったのですが、その中からおひとつご紹介。
「四姉妹のお父さんの存在は実際には出てきませんが、具体的に役者さんをあてがうとしたら誰にするかお考えになりましたか?」
という質問に対して、「具体的に誰、というより、映画に出てくる男達はみんな優しいけれどだからこそ少しダメな人たち。だからあの男達を全部合わせたのがお父さんのイメージです。」と答えた監督。
「でももし誰か一人の俳優さんにするとしたら?」と食い下がるお客様に対し、「う~ん、年齢的には少し上なんですが、小林薫さんですかね。」と監督。
映画の中の男達をすべて合わせた存在、という回答にも思わずうなりましたが、小林薫さんという答えも…すごいわかる!納得!

この日は大変多忙な中駆けつけてくださった是枝監督ですが、イベント後は気軽にサイン会にも応じてくださり、『海街diary』という作品がこの土地で愛され続けていることをとても喜んでくださっていました。

 

最後に、この企画全体にご協力いただいた宮崎祐治さんに執筆していただき、冊子「鎌倉映画地図」を発行できたことは、記念館にとって新しいチャレンジとなりました。
展覧会はとりあえず終わってしまいましたが、冊子は今後も販売を続けますので、冊子を通じてより広く、より楽しく、鎌倉と映画の豊かな関係を知っていただけますと幸いです。    (胡桃)