年の瀬に振り返る11、12月~その1~

16/12/24

大変ご無沙汰してしまいました。記念館の胡桃です。
11月はイベントが盛りだくさんで、きちんと振り返る余裕もないままあっという間に年の瀬です。
師走とはよく言ったもので、どうして12月に入ると時の流れが加速度的に速くなるのでしょうか。
今年の終わりに、まだご報告できていなかった11~12月にかけての当館の活動を、2回に分けて振り返ってみますね。

10月の終わりに開催した「かまくら世界映画週間<フランス篇>」で、堀口すみれ子さんによる素晴らしい詩の朗読の余韻が残る中、11月12日(土)には「鎌倉シネサロン」と題して、鎌倉にゆかりのある映画『二十歳の無言館』の上映と、森内監督はじめ関係者によるトークイベントを実施しました。
横浜国立大学附属鎌倉小学校の修学旅行をきっかけに、長野県上田市にある《無言館》で、戦争で命を失った若き画学生たちの作品を鑑賞するという取り組みを経験した生徒たちが、その後も無言館に足を運び、館長である窪島誠一郎さんとの対話を重ねながら成長していく姿が、三作にわたって映画化されているのですが、その最新作が『二十歳の無言館』です。
高校を卒業し、作者たちとほぼ同世代の年齢を迎えた学生たちが再び無言館を訪れ、それぞれの進路を歩む中で作品と向き合う今作は、まさに鎌倉で上映するにふさわしい作品であり、無言館のある長野県上田市が、鎌倉市と姉妹都市であることも含めて、この場所で上映できて良かったと思います。

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ちょうど神奈川県立近代美術館では、無言館の収蔵作家でもある松本竣介の企画展「松本竣介 創造の原点」が開催されており、鎌近のイベントで窪島さんが鎌倉にいらっしゃる日に合わせて、当館での上映会が実現したので、上映後のトークでは、窪島さんや出演者の学生にご登壇いただき、濃密なお話をお聞きすることができました。窪島さんのお話は、内容の重みとは対照的な軽妙さがあり、歯に衣着せぬ潔い話術も含めてとても面白かったですし、映画で見るより更に大人びた学生たちの言葉は非常に頼もしく感じられました。

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横国附属の教育内容の充実ぶりに驚かされると同時に、力を入れた教育にはちゃんと成果が出ることが実感できる機会となりました。
ご協力いただいた鎌近の皆様、どうも有難うございました。


ご近所ミュージアムとの協力といえば、11月23日には、毎年一緒にスタンプラリーをしている鏑木清方記念美術館、鎌倉国宝館、神奈川県立近代美術館さんと、スタンプラリー5周年の記念イベントを実施しました。
扱う作品や専門がバラバラなこの4館でひとつのイベントをするにあたり、設けたテーマは「建築」。この4館の建築を紐解いていくと、建築家や建物の歴史など、興味深い物語が紐解かれるということで、各館の学芸員による建物の建築的な特徴の解説と座談会、最後は会場となった当記念館の裏にある旧和辻邸の細部にわたる見学を行いました。

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近隣のミュージアムとの交流・協力をお客様にも還元するイベントとなり、また専門分野の垣根を越えて、《鎌倉》という土地で繋がる美術館・博物館同士の可能性を感じられる機会ともなりました。これからも一緒にできることを模索していきたいと思います。

11月下旬には約1週間にわたって、シネマセレクション「映画で見るアジアの民族衣裳」と題した特集上映を開催しました。普段は上映する機会の少ないアジア映画を取り上げ、日本・韓国・中国・インドの民族衣裳が描かれた作品を、新旧織り交ぜて4本上映したのですが、4作品すべてに足を運んでいただいた方も多く、プログラミング冥利に尽きる企画となりました。
特に、日本でも今年の夏に公開されたばかりの韓国のドキュメンタリー映画『あなた、その川を渡らないで』は、作品の新しさや話題性もあってか、毎回完売する勢いで、多くのお客様に観ていただくことができました。年老いた夫婦の晩年と、彼らの魅力溢れる人間性、お互いへの思いやりは、世代を問わず感動を受けるものなのでしょう、お母さんに連れられてやってきた小学生くらいの女の子2人は、映画が終わってからもずっと泣きじゃくったままでした。その姿を見て、「子ども向けの映画ではない」とか「字幕を読まなきゃいけない」などとこちらが決め付けてハードルを作ってしまうのではなく、良い映画は良い映画なのだから、もっと自信を持って幅広くアピールしてもいいんだ、と勇気付けられたような気がしました。お母さんと一緒に来てくれてありがとうね。
11月23日の祝日には、『細雪』の上映に併せて、普段は一般公開していない旧川喜多邸別邸(旧和辻邸)にて、和服を愛した川喜多かしこさんのお着物を展示する試みにもチャレンジしました。

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かしこさんは日常的に和装で過ごされていたので、残っている着物もきらびやかなものはなく、正直見栄えがしないかなぁと少し心配していましたが、かしこさんの好きだった紫色をベースにした、地味ながらも品の良い着物たちは、皆様からの評判もすこぶる良く、喜んでいただけて何よりでした。

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(写真は、別の日に団体様でご来館された呉服専門店「三松」ご一行様)
年に2度の一般公開以外にも、このようにイベントを設けて庭園の内部をご覧いただけるのは、当館にとっても良い機会になるので、今後も色々と企画を考えていきたいと思います。


その1はここで終わりです。
次回は、クロサワ・ミフネ展に関するここ2ヶ月を振り返っていきますね。(胡桃)