映画と夏休みと子どもたち~夏休みワークショップ開催報告~

16/09/04

新学期が始まって、はやくも1週間が経とうとしています。
今年の夏も相変わらず暑かったですが、台風の話題が増え、夜は涼しい風が吹くようになると、もう夏も終わりか…と少し寂しい気持ちがしてきます。(といってもまだまだ暑いです!)

記念館では夏休みの間、3つの子ども向けワークショップを実施しました。今回は遅ればせながらそのご報告です。

■子どもシナリオ・映画教室
鎌倉市に在住・在学の小学校4・5・6年生を対象に実施している毎年の人気企画、今年も20名の定員に対して40名近くのご応募をいただきました。申込書に「将来映画監督になりたいので参加したいです」と強い意欲が書かれていたり、自分で記入して持ってきてくれる子がいたり、そんな子はつい当選させてあげたくなってしまいますが、ここは平等にくじ引きでエイッと決めています。(4・5年生で参加できなかった子は是非来年もご応募お待ちしていますね!)

このワークショップは、「自分でシナリオを書く」1日目、「グループに分かれて撮影をする」2日目、そして1ヵ月後には編集を経て「完成した作品を皆で見る上映会」と、全体で2日半に渡るプログラムになっています。

全体

1日目、どんな雰囲気なのか…と様子を伺いながら、シナリオ・センターの先生たちの温かい指導で少しずつ身体がほぐれていく子どもたち。周りの子とすぐに仲良くなる子もいれば、恥ずかしがりやの子、静かだけど主張ははっきりする子など、一人一人の個性が少しずつ現れてくる様子が見ていてとても面白いものです。
1日目の最後に、撮影する脚本が決まって、各自の役割を決めるのですが、今年は出演者ではなく裏方を希望する子が非常に多く、監督、撮影、照明などのスタッフ決めで熾烈なじゃんけんが繰り広げられました。

フレーム

2日目はお昼を食べてから集合し、夕方までみっちり撮影。みんな最初は余裕の表情を見せていますが、ひとつのシーンを撮影するのにどれだけの時間と労力がかかるのかを実感してくると、「このままじゃ終わらない…」と真剣に。たくさんの台詞が飛び交う場面では必然的にNGも多く、出演者たちは必死です。でもその分、OKが出たときの達成感もひとしお。集中力が途切れて、大人たちから尻を叩かれることもありましたが、お互いに励ましあい、意見を出し合いながらなんとか撮影完了。編集はこちらにおまかせくださいませ!

撮影1

撮影2

撮影3

撮影4

さてさて1ヶ月後の上映会。みんなご両親や兄弟姉妹と一緒に参加してくれたので、51席の会場はもういっぱいに。「ひと月も前のことだからもう忘れた」と言いつつも、舞台挨拶では恥ずかしそうに映画作りを振り返り、楽しく見てもらえたのではないかと思います。

皆さんの、夏の良い思い出として記憶してもらえれば嬉しいです。


■親子で楽しめる!夏の映画上映会「アルプスの少女ハイジ」
記念館では普段、お子様にも楽しんでいただける映画を上映する機会がなかなかなく、最近の作品だけではない、映画文化の魅力をどうすれば子どもたちに伝えられるか、という問題に日々頭を悩ませています。
16mmフィルムというメディアは、今ではすっかり過去のものになりつつありますが、ビデオやDVDがなかった時代には比較的手軽な上映ツールとして親しまれており、市立図書館などで借りて上映することができます。
当館のある鎌倉でも、鎌倉市中央図書館や神奈川県立図書館から昔のアニメーションや文化映画の貸出が可能で、フィルムの味わいも含めて、いつもとはちょっと違う映画体験を子どもたちにもしてもらいたいと、上映会を行いました。

作品は、日本の国民的テレビアニメとしてどの世代にも親しまれてきた「アルプスの少女ハイジ」の劇場公開版。テレビ版の総集編として1978年に公開された作品です。私(記念館学芸員、30代前半)も小さい頃、テレビの再放送で見ていたので、これならきっと親御さんは懐かしく、子どもたちは新鮮な気持ちで一緒に楽しんでもらえるのではないかと選びました。

実際、私の目論見どおり、「昔見ていたので懐かしい」とお母さんお父さんも楽しみに来てくださった方が多かったのですが、驚きがあったのは子どもたちの反応。
ほとんどの子たちは、ハイジのアルプスの生活から町での辛い日々、クララが歩けるようになるまでをドキドキしながら見てくれたようですが、中には、途中でハイジがおばさんにアルプスから無理矢理連れて行かれてしまうところで、ハイジに感情移入するあまり、涙が止まらなくなってしまったお子さんもいました。
お母さんが「最後まで見ればハイジは幸せになれるのよ」と言い聞かせても首を横に振り、途中で断念してしまった子には、どうかこの経験がトラウマにならずにもう一度ハイジを見られる日が来ますように、と願いつつ、子どもたちの感受性の強さに改めて驚かされたのでした。


■ぐるぐるアニメワークショップ
こちらも毎年恒例の人気企画、映画は映画でもズバリ、自分で描いた絵をアニメーションにして動かしてみよう、という内容です。
映画が今のような形で人々に見られるようになるまで、「絵を動かしたい」という欲望によって、人類は様々な視覚装置を生み出してきました。
このワークショップで使うのは、「プラキシノスコープ」という19世紀後半に発明された道具で、帯状の紙に少しずつ変化する絵を描き、円筒の内側に入れてクルクル回すと、内側につけられた鏡を通して絵が動いて見える、というものです。

おためし確認

ワークショップでは、フィルムに触ってみたり、真っ暗闇の中で幻灯機が映し出す絵を見て昔の人たちを追体験してみたり、小学1年生のチンパンジーが学校で先生とドタバタを繰り広げる無声映画を鑑賞したり、映画の歴史にまつわる様々な体験を経て、自分で絵を描いて動かすまでを行いました。

フィルムにさわる

16mmをみる

12コマも絵を描かないといけないので、結構時間がかかって大変なのですが、「○○にするぞ!」とテーマが決まれば子どもたちはみんな速い速い。がっと集中して描きあげてしまいます。(その傍らで自らも夢中になって描いていたお母さん方の光景もとても微笑ましいものでした。)子どもたちってほんと、何をするにも全力投球ですよね。自分はいつからこんなに無気力になってしまったのか…と寂しい気持ちになったりもした夏の一日、みんな、素敵な作品ができました!

絵を描く

最後の上映会

大阪からわざわざ来てくれたマリコ先生、都内からサポートに駆けつけてくれたリョウ先生、本当にありがとうございました。


いかがでしたでしょうか。
鎌倉市川喜多映画記念館は、これからも夏休みに限らず、長期休暇期間を中心に、お子様にも映画の魅力をたくさん伝えていけるようなイベントを開催していきます。
次回もぜひ参加してくださいね。(胡桃)