春休みはイベントがいっぱい!~バリアフリー上映会『あん』+こどもおはなし映画館篇~

16/03/31

春めいたと思いきや急に冷たい雨がしとしとと降ったりした3月も下旬、春休みということもあって、鎌倉市川喜多映画記念館ではイベントが目白押しでした。今回は、お彼岸中に開催しましたバリアフリー上映会『あん』と、小さいお子様向けに実施した「こどもおはなし映画館」の報告をします。

河瀨直美監督、樹木希林さん主演で昨年大変話題になり、国内外で高い評価を得た作品『あん』。
鎌倉のお客様にも喜ばれそうな作品だと、上映するタイミングをうかがっていたところ、年に1度開催しているバリアフリー上映会(視覚障がいの方向けの音声ガイドと聴覚障がいの方向けの日本語字幕がある上映形態)で『あん』を上映してはどうか、という話になり、一般上映も兼ねての開催が実現しました。

予想通りチケットの売れ行きが大変良く、早い段階で完売してしまったため、お断りすることになったお客様には大変申し訳ありませんでしたが、四季折々の美しい情景、美味しそうなどら焼きと共に、ハンセン病の根強い差別や存在自体を隠すように生きてきた患者さんたちの、陽の当たる場所で生きたいという欲求が、樹木希林さんの名演によって見事に伝わってくる作品でした。

バリアフリー上映会の後には、観終わったばかりの『あん』について皆様と感想などを語り合う「映画談話室」も実施しました。
談話室の際は、鎌倉市から派遣された要約筆記の方たちが、話した言葉をすぐさまパソコンで文字起こしし、スクリーンに投影する形で通訳をしてくださいました。

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司会を務めた私は、いつもよりゆっくりと話す必要があって勝手の違う部分があったり、障がい者の方から見てわかりづらかった映画の部分を教えられたり、とても勉強になる貴重な経験だったのと同時に、いつも来てくださる常連のお客様が、実は聴覚障がいをお持ちだったことがわかり、今日は字幕があったので嬉しかったと喜ばれていたのが印象的でした。映画が大好きだというその方は、音がよく聞こえなくてもいつも観にきてくださっていたようで、こちらこそ感謝の気持ちでいっぱいになりました。
バリアフリー上映も、年に一度と言わず、二度三度とできるように今後とも頑張らないといけませんね。

なお、バリアフリー上映会には、バリアフリー映画鑑賞推進団体「シティ・ライツ」さんに音声ガイドのサポートを、要約筆記サークル「あ・うん」さんに字幕付上映に関するご助言をいただきました。この場を借りて感謝申し上げます。

 

さて、今回初めての試みとなった「こどもおはなし映画館」は、絵本の朗読(おはなしの途中まで)+想像力を働かせて続きを考える+16mmフィルムで映画を見る、という内容で、ひとつの物語を異なるメディアで多角的に楽しんでもらいたい、との趣旨で企画しました。絵本のおはなし会は図書館などでもたびたび行われていますが、ここは映画の施設なので、朗読と映画をドッキングしてみた次第です。今回のおはなしは『こぎつねコンとこだぬきポン』という作品を選びました。

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当日集まってくれたのは、3歳から6歳くらいの小さなこどもたち。可愛いレインコートに身を包み、レインブーツで雨対策もばっちり、雨にも関わらずお子さんたちを連れてきてくださったお母さんたちに感謝です。

『こぎつねコンとこだぬきポン』は1977年の発売以来、ロングセラーを続けている人気の絵本で、友達が欲しいコンとポンが双方の両親に反対されながらも友達になるまでを描いています
絵本のわりには文字量がとても多く、最初から最後まで朗読するとゆうに30分はかかってしまうということで、編み出したのが「朗読を途中で止め、続きがどうなるかは子どもたちに考えてもらおうという作戦。
グループに分かれて相談タイムを設けたのですが、みんな意外と変な方向に逸れることなく、絵本のおはなしに近い形でコンとポンが友達になれる方法を考えてくれました。
「お母さんやお父さんに内緒で仲良くしてもいいと思うけど、認めてもらえないのはやっぱり悲しいから、機会を見てお父さんたちのところに行ってお互いを紹介すれば大丈夫だと思う!」といった発表を聞いていて、子どもたちが大きくなった時の恋愛模様を予感させるようで、微笑ましくも案じてしまったのは私だけでしょうか。

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最後は、鎌倉市立中央図書館からお借りした16mmフィルムで、コンとポンのアニメ映画を見てイベントは無事に終了しました。
終わった後も映像玩具で楽しそうに遊ぶ子どもたちに、こちらも温かい気持ちになりました。

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今回のイベントは、鎌倉で子どもとアートを繋ぐ活動をされているNPO法人「アートとつながる鎌倉」(元はじめまして、美術館)の方たちにご協力いただき、企画段階から一緒に相談してきました。
子どもたちの動向や、気をつけるべき点を把握されている方々と一緒にイベントができるのはとても心強く、また活動の趣旨も素晴らしいので、今後も協力していけると嬉しく思います。

さて、春休みのイベント報告はまだ続きます。次回をお楽しみに!(胡桃)