戸田奈津子さんのトークイベント PartⅠ

15/07/12

新しい企画展「戸田奈津子が見てきたハリウッド」が戸田さん(とトム・クルーズ)のお誕生日である7月3日に始まったものの、連日雨が続いていましたが(数日前まで、関東地方の今月の日照時間は25分ほどだったとか)、ようやく晴れた!と思ったら今度はうだるような暑さです。

7月11日(土)、展示期間中に2回実施する、戸田奈津子さんのトークイベントの1回目が開催されました。
チケットは早々に完売し、お問い合わせいただいたお客様には8月の2回目のイベントをお知らせをする中、夏の強い日差しによく映える白いお召し物で現れた戸田さんは、1時間以上にわたって、軽快で涼しげに、しかし中身の濃~いトークを繰り広げてくださいました。

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今回のトークは「PartⅠハリウッドスター篇」ということで、字幕翻訳を目指していた戸田さんが通訳の仕事をするようになった経緯から始まりました。
英会話はまったくやらないまま、読み書きで英語を習得した戸田さんですが、大好きだった映画の世界でようやくパートタイムの仕事に就けたのは大学卒業して10年近く経ってからだったそうです。現在の名声しか知らなかった私には意外でしたが、なんだか親しみが湧いてきます。
海外とのビジネス・レターの翻訳が主な業務だった中、当時宣伝部長をしていた水野晴郎さんに、来日する映画人の通訳を突然頼まれ、英語が話せないと言い訳する間もなくその場に出ることになってしまったとのこと。そのときのことは思い出したくもないと仰っていましたが、その後も仕事を依頼されるようになったそうです。
そこでの戸田さんのコメントが印象的でした。「私のあんなひどい英語でも次の仕事に繋がったのは、私が映画のことを知っていたから。映画は大好きだったから、映画の知識で経験不足な英語をカバーすることができた。通訳は語学だけができても意味がない。」
語学は手段でしかない、とはよく言いますが、戸田さんが仰ると説得力がまったく違いますね。

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そして、今日のテーマであるスターたちとのお話に。最初に、戸田さんが様々なハリウッドスターたちと撮った写真を一通りご紹介し、お客様から「この人の話が聞きたい!」とリクエストがあると、戸田さんがその人との交流について話すという形で進みました。
ディカプリオ、スタローン、デ・ニーロ、ロビン・ウィリアムズ、ショーン・コネリー、ジョディ・フォスター、トム・クルーズ…といったリクエストに対して、素早く反応し、たっぷりの愛情と時にピリッとしたスパイスを効かせながら絶妙なトークを聞かせてくださる戸田さんの頭の回転の速さにひたすら驚かされるばかりでした。

マッチョな肉体派で知られるスタローンやシュワちゃんですが、実は彼らほど知性のある人はいないこと、出演作のプロデューサーも手がけるトム・クルーズがわが子のように作品を愛し、お客さんのためならどんな無茶もしてしまうこと、狂気の役を演じることの多いデニーロが、実際は無口で口下手なこと(対照的なのはダスティン・ホフマンだそうです)、そして悲しい形で亡くなってしまったロビン・ウィリアムズとの思い出など、戸田さんにしか語りえないエピソードのオンパレードです。
そうそう、かつらであることを隠そうとしないショーン・コネリーが、撮影中、カットの声がかかるとかつらを脱ぎ捨ててしまうお話もとても面白かったです。戸田さんは一緒に、何が何でもかつらを隠し通そうとするあるスターについても話してくださったのですが、スターの沽券に関わる問題ですからここでは名前は伏せておきましょう。

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トークの後はサイン会も行い、戸田さんの素晴らしいお話の効果で、書籍も沢山ご購入いただきました。
トークの中身はもちろんですが、戸田さん自身の魅力が堪能できる時間だったと思います。
そして戸田さんが何度も何度も口にしていた「努力」の言葉。私たちは普段、スターたちの華やかさばかりを目で追いがちですが、華やかさの裏に血の滲むような努力があることは、実際に彼らと仕事をし、交流してきた戸田さんだからこそわかることなのでしょう。

戸田さんを通して、いつもと違った見方でハリウッド映画を知る。企画展の趣旨とも見事に合致したイベントになりました。
次回は8月8日(土)14時から、「PartⅡハリウッド映画篇」をお送りします。PartⅠとはまったく別のお話になりますので、今回来られなかった方も、PartⅠで戸田節にすっかり魅了されてしまった方も、皆様是非ご参加ください。チケットは7月18日(土)から販売開始です。お買い求めはお早めに~。(胡桃)