映画・片岡仁左衛門「孫右衛門の巻」 Vol.2

上映日:平成25年6月23日 午前10時30分、午後2時

日本を代表する記録映画作家の羽田澄子監督が、当時歌舞伎界の最長老だった十三代目片岡仁左衛門(1903年-1994年・人間国宝)に密着して84歳から88歳までの、その芸と人となりを描き出した全5部作の最後が、今回上映する「孫右衛門の巻」です。

後から88歳から90歳までの記録を収めた「登仙の巻」が製作され、最終的には6部構成になっています。岩波ホールで一挙上映されたときは、大変な評判を呼びました。


映画『歌舞伎役者 片岡仁左衛門 孫右衛門の巻』より

それぞれにテーマがある構成ですので、1部だけをご覧いただいても素晴らしさは十分にお分かり頂けます。

映画では〔恋飛脚大和往来〕の『封印切』と『新口村』の稽古場面と、歌舞伎座での本舞台をメインに仁左衛門の信心深い日常などが記録されています。仁左衛門はこの頃すでに視力のほとんどを失っていますが、立ち振る舞いが端正で気品にあふれ、それらすべてが仁左衛門の芸風を作り出していることを伺わせます。監督は無駄なものは入れず、静謐ともいうべき淡々とした映像を重ね、撮影対象がもつ力で映画を構築していきます。

今となっては見ることがかなわない仁左衛門の上方歌舞伎の神髄、『新口村』の孫右衛門をご覧ください。他に歌舞伎座の舞台を撮影したシーンでは片岡孝夫(当代の仁左衛門)の忠兵衛、中村雀右衛門(昨年死去・人間国宝)梅川という一流の芸をご覧いただけます。

歌舞伎ファンには必見の映画ですが、歌舞伎に特に関心が無くても、“役者として生きる”人としての生き方を描いた優れたドキュメンタリーとして楽しんで頂けると思います。

なかなか上映されることの少ない映画です。この機会に是非ご覧下さい。

(2013 05 16)